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天平文化にふれる(光明皇后 続編)

 前回のブログでは、光明皇后の生い立ちや政治への関わりなどにふれてきました。今回は、そういった政治背景の中、光明皇后は聖武天皇とどのように手と手を取り合って、日本の文化を築き上げていったのか、彼らが残してくれた『天平文化』に着目していきたいと思います。

 『天平文化』、文字通り聖武天皇の在位時期の元号天平が名前の由来です。この時期、遣唐使が幾度と派遣された事もあり、唐の文化を積極的に取り入れ、花開いたのが天平文化です。
天平文化の中心はやはり寺院ではないでしょうか。その多くが聖武天皇、光明皇后が共に民を思う強い気持ちを持って建てたものであったことでしょう。その主だったものに全国に建てられた国分寺、国分尼寺があります。それぞれに七重の塔が建てられたそうですが、残念ながら現存しているものはありません。

 総本山の東大寺、法華寺は天平文化の代表的な寺院です。東大寺の大仏は聖武天皇、光明皇后の鎮護国家の想いがつまった象徴と言えます。この大仏建立の大事業を実現させるために民衆の支持が高い行基を大僧正に迎え協力を得ました。行基のお話はまた後日したいと思います。
その他にも平城京の東朝集殿唐から移築した唐招提寺の金堂、講堂や東大寺法華堂(三月堂)、転害門、薬師寺東塔(本薬師寺からの移築説を取れば白鳳建築)など数多くの仏教建築がこの時代に建てられました。校倉造で有名な正倉院宝庫も天平文化の代表的な建物です。ここに保管されている宝物が毎秋、奈良国立博物館で催される正倉院展でその一部を見ることが出来ます。

 寺院の他に仏教彫刻も有名なものが多数あります。東大寺の廬舎那仏像(奈良の大仏)、興福寺の八部衆立像(阿修羅像など)、十大弟子立像、聖林寺の十一面観音立像、唐招提寺金堂の廬舎那仏坐像、鑑真和上坐像、東大寺法華堂(三月堂)不空羂索観音立像、梵天・帝釈天立像、四天王立像、金剛力士・密迹力士立像、執金剛神立像、日光菩薩・月光菩薩立像、新薬師寺十二神将立像、東大寺戒壇院四天王立像(多聞天像など)など挙げるときりがないぐらいたくさんあります。この時代の仏像はいろいろな表情をしたものが多い印象です。個人的には金剛力士立像や多聞天像など猛々しい表情の仏像が好きです。

 歌集の万葉集、漢詩集の懐風藻も天平文化の作品です。万葉集の中に光明皇后の歌で、聖武天皇と光明皇后の仲睦まじさを物語る歌があります。

「我が背子と ふたり見ませば いくばくか この降る雪の 嬉しくあらまし」

わが夫の君といま降っている奈良の初雪を二人でみられたら、どんなに幸せな事でしょうという意味です。
せっかく奈良に初雪が降ったのに聖武天皇は行幸中で不在です。「ああこの初雪を二人で見られたらどんなにかうれしいのに・・」ため息まじりで読んだ歌なのではないでしょうか。
わが背子とは女性が夫や恋人を呼ぶ言葉でわが背子と歌った辺りに、光明皇后の限りない愛情とやさしさを感じる事ができます。

天平文化は、平城京を中心に花開いた文化であり、聖武天皇とその治世を支えた光明皇后が深く関わった文化といえます。光明皇后の人物像は政治に強い影響力をもった女傑か聖武天皇を健気に支えた妻か人によって評価が分かれるとは思います。両方の一面を持っているとは思いますが、人生の後半は政治色が強くなった感は否めません。長屋王以後、天平年間政務を司った人物は光明皇后に近しい人物でした。故に政治に深く関与していったもの仕方がなかったのではないでしょうか。特に晩年は聖武天皇の死後、唯一の後継者を自負する娘孝謙天皇との確執や権勢欲をむき出しにしてくる甥の仲麻呂への対応に苦慮したのではないかと思われます。

 そして、気掛かりな事を残したまま最期の時を迎えます。

 光明皇后陵は奈良女子大の少し北側にあり、奈良法蓮郵便局の横にあり、聖武天皇と並んで静かに眠っておられます。

 奈良の秋を代表する「正倉院展」では、お二人の力と思いによって花開いた天平文化に間近で接することが出来ます。今年も聖武天皇ゆかりの品々が出陳され、いまなお、美しい輝きを見せてくれています。特に今年は「70回目」という節目であること、また「麻」を用いた宝物を見ることができ、新羅とのつながりが分かる宝物も並びます。奈良時代に思いをはせるだけでなく、近年の研究技術の高さや、奈良時代の多様な国際関係にもふれることができそうです。個人的には光明皇后が亡き聖武天皇のために写経させた巻物が、ものすごくきれいな形で出品されているのに感動しました。

 奈良には光明皇后ゆかりのお寺がたくさんあります。正倉院展のみならず、東大寺、興福寺、新薬師寺、法華寺など、光明皇后の想いにふれながら旅をしてみてはいかがでしょうか?

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